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恋慕のしらべ
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作詞 日野原良行 |
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茜(あかね)さす月は照らせど
かりそめなる夢の舞
面にて情は移ろいて
糾(あがな)う二つの海
明けの鐘さえ
泣きにける頃は
涙河を泳ぐまで
雅やかな姿を
歌にせし世は寂蓮(じゃくれん)のように
この空へと降(くだ)る坂は
朽(く)つ私を帰しておくれ
若楓は木垂(こだ)る
声をとがめ逝きて
恭しいまま
憂き瀬より爪を食せど
なぐさめは永久(とわ)の宵
老いなす恋は褪せ果つて
誘(いざな)う言葉の先
朱(あけ)を注ぎて
啼き続く鴉(からす)は
天の河を翔ぶのか
きらびやかに冴える柳(やなぎ)
能見せし穂に静寂を見る
己(おの)の胸へと昇る影は
時の早さを悟りて萎えて
麗しく狂おしく
愛(は)し幻化(げんけ)に入れ
紛いやすき肌さえ
明けの鐘さえ
今は已(すで)に消え
涙片手に目離(めか)るだけ
浮雲を池に落とし
月の影と抄(すく)うのが恋
この空へと降(くだ)る坂は
朽(く)つ私を帰しておくれ
若楓は木垂(こだ)る
声をとがめ逝きて
恭しいまま
瞬(まじろ)く光る虫は
星合いのように
慕わしいまま
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