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風化
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作詞 古雅 |
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静かな雨音に耳を傾け
微睡みと混沌の中いつものように瞼を開く
何ら変化のない日常の朝
何も変わりのない目覚めの筈なのに何かが足りないような気がした
まるで自分の半身をもぎ取られた様な…
脳の一部に霧がかかり先程までの夢が思い出せない
ただ私の知らない…覚えていないだけかもしれない
笑顔の綺麗な人が隣で寝ていた
その人が笑うだけで何故か私も笑ってしまう
何でもない会話がとても愛しく感じた
一体何なのだろう
夢の中の出来事ではないこのデ・ジャヴのような感覚は…
手で額を抱え奥底にしまわれた記憶は
思い出してはいけないもののように痛みを伴い拒絶する
ただ私は知りたかった
名前も顔もはっきりとはわからないあの人の正体を
暗闇の世界から目を背ければ
自分の隣に開けられた何気ない一人分のスペース
気が付けば意思を無視した右手
誰も居ない空白を撫でていた…確か前にも……
誰かに呼ばれた気がして回りを見渡しても
やはりそこには誰も居ない
不意に今までに見たことのない情景が浮かんだ
行ったことのない場所の筈なのに
何故だかとても懐かしくて
わけもわからず涙が流れいつまでも止まらなかった
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