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だれもいない駅で
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作詞 蜜希 |
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彼は小さくなって
わたしの胸に抱かれている
生きている人の群れが“ハコ”を見つめ
残暑に香る蝉時雨の夕立が駅を包んだ
彼の身体を必死に
わたしは愛しつづけた、わずかに
他人事のように噂流れて雨に消えた
夕闇も遠く、光る影は無い
見捨てられた駅舎 古ぼけた人々
汗ばんだシャツに雫こぼれ
彼の影は隠される、雨の匂いが強いから
電話口弱っていく声に
ノイズがかかって、彼の声かすれた
東京は相変わらずと故郷の友達に
伝えるみたいな時間も今日から無いのね
先生はわたしに学べと言う
だけど、彼のことをわたしの
過ぎた経験には出来ない
愛してた。今だって彼を抱いて、
雨上がり、草の息 忘れられたわたしたち
未来に行く列車、わたしは
乗り遅れたの、雨が強いから
「次の電車はいつでしょうか」
無人駅でつぶやいた
「さっきまでいた人たちはどこに行ったの」
残夏に訊いた
雫垂れ、さいごの合唱 もうわたしひとり
最果てのレール、わたしは
歩いていくの、次の季節が来てるから
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