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あれから…
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作詞 柊 木葉 |
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席が隣になると聞いたとき、
私に駆け寄ってきて、ヨロシク、と
手のひらを差し出した貴方。
あれからもう、三年も経つんだね。
貴方に会えない日が続いて、
三ヶ月分の通学定期、もう二枚目に突入した。
去年の今頃、皆して川に飛び込んで、
びしょ濡れになってはしゃぎまわってた。
生理で水に浸かれなかった私の隣に来て、
冷えた蒟蒻畑をねだれば頬張る貴方。
肝試しをやろうと言い出して、お化け役を買って出れば、
怖がらすどころか笑いを取って、お笑い大会になってしまったね。
私を笑わせてくれる貴方が、一年前は隣にいたのに。
私ね、考えていたの。貴方が差し出した手のひら。
握手を交わした手のひら。
あれは左手?それとも右手?それすらも思い出せなくて。
でもね、思い出したの。
私、右手を差し出しかけて、
逆だったから、左手に替えたんだ。
あの手は左手だった。
思い出せた、それだけのことなのに
嬉しかった。涙さえ溢れた。もう忘れないと誓った。
貴方はあの握手のことなんか、もう、忘れているかな。
でも、…私は忘れない。
貴方の走り方、笑い方、そして、すべての思い出を…きっと覚えてるから。
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