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通り縋りの月光曲、赤の幻灯、蛍の子守唄
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作詞 霧島マナ |
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「今宵祭に行って参ります」
置手紙を残して去っていった
夏の冷たい夜風が
自分に透き抜ける
今となれば
あの方もお分かりになります
でも、もう後の祭り
涙が真珠のように
軽く弾み、その道はもう過去
もう振り返ってはならない幻覚
その道をきっと彼方は
気づいて下されないであろう
昼間では涼しげな藍の浴衣も
今宵悲しみの蒼
月は他の御方に遣えて
幸せに成らねばならない
いつかきっと
太陽と一緒に光る事のできる日が来るから
下駄も草鞋も
もう一緒に並ぶ事は出来ない
裏の名も
今になっては潰えた蝋燭
最後の役目を果たしておくれ
神社に着くまで
我の悲しみを和ませようとしているのか人間よ
我の涙を燃やすとでも言うか赤い提灯
お前達には他の役目があるから
精一杯やりなさい
涙に濡れた我を
癒す事が出来ないから
「蛍はきっと人間を喜ばせたいんだよ」
細道を通る我
もし想ならば、我を癒しておくれ
癒せないのならこの夏
精一杯飛びなさい
もう二度と還っては来ない様に
浴衣に一つの光が
実を付けていた
その光はやがて
歌を歌いだす
浴衣の色は未だに
悲しみの蒼に染まっていた
どうか蛍よ、夏よ、月夜よ、
我に構わず自分の夢を画きなさい
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