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静かな森の中で
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作詞 HIGHBALL WALKER |
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静かな森の中で、白い髭を生やした老人が俺に、
「その心の痛みなら、いい薬があるよ。教えてやってもいいが、
そいつは高くてな、お前さんには到底手が届かない額じゃ。
お前にそんな大金が出せるのかい?」
と、怪しげな笑みを浮かべて言ってきた。
俺は躊躇った。出来ることならこの痛みから逃げたい…
「よし、いくら払えばいい? いくらだ?」と聞くと、
返事もせず、その老人は森の中へ消えて行った。追いかけようとしたときだ。
めざまし時計のベルが部屋中に響く。目を覚ます。夢だったのか…
また一日が始まってしまった。でもあの夢は何だったんだろう。
そんなことばっかり考えている間に一日はあっという間に過ぎた。
夜。またあの老人に出くわすことを願いながら眠りに就く。
静かな森の中で、またあの白い髭の老人に会う。
「その心の痛みなら、いい薬があるよ。教えてやってもいいが、
そいつは高くてな、お前さんには到底手が届かない額じゃ。
お前にそんな大金が出せるのかい?」
と、昨日と同じ事をまた言ってきた。
俺は決めていた。次に会ったら必ず買ってやろうとと。
「ああ、売ってくれ。さあ早く!」と言うと、
老人は、頷いて森の中へ消えて行った。…ベルはまだ鳴らない。今だ。
俺は老人の後をついて行った。一軒家だ。「中に入れ…」
すると古びた机の上には、その薬が置いてあった。
「これだ! こいつをくれ! 札束ならあるぞ! いくらでも払ってやる!」
老人は黙ったまま返事をしなかった。何とか言いやがれこの糞爺!
「…8000億円でどうじゃ?」俺は言葉を失った。8000億円…
そうだ、これは夢だった。俺はそいつに8000億円くれてやった。
…めざまし時計のベルが部屋中に響く。目を覚ます。これで台無しだ。お仕舞いだ。
夢。もう諦めがついた。ふと見ると机の上にメモが。まだ夢か?
静かな森の中で、会った青年へ。糞爺からだ。
「その心の痛みなら、いい薬があるよ。教えてやってもいいが…」
2回も聞いた事のある言葉だ。…いや違う、次から違う言葉だ。
「お前にその資格があればの話だ。
吐け。吐く事が一番の薬じゃ。
綺麗好きのお前にそんな勇気があるかい? ジジイ。」
何で綺麗好きって知ってんだ?
…もう何でもやってやらぁ! こんな生活にはもう懲り懲りだ! 手紙を破った。
めざまし時計のベルが部屋中に響く。目を覚ます。夢だったのか…
ゴミ箱を見るとそこには、
破られた手紙。
やけに明るいと思ったら、
眩しい朝陽。
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