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感染
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作詞 アネモネ男爵 |
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疾る雨雲 均衡を保ち そのまま背景に筆を入れる
広げた傘が遮断した日々 未だ体勢を立て直している
愉快犯の様に 僕を捕まえる度
浮上する微笑を 指先で変更する 慈愛
露わになる肌を 針で突き刺すことも必要だと教えてくれた
その声は総じて 斜め後方から定める射程圏内
意図は―――――不明。
塵と織り成す互いの呼吸 混ざり合うのを確かめて眠る
閉じた瞼が封鎖したライン 未だ感覚を探り合っている
高次の要求を 突きつけるや否や
視線の切っ先で 僕を挑発する 受信
発せられぬ言葉 稼動しない視神経を貫く 熱を帯びた影
立ち込めた濃霧と二点間の距離は 決して変わる事無く
君は―――――いない。
何度排しても蘇る映像 見つめ合っている最中
その輪郭から発せられる光源(ウイルス) 侵されていく快感
最良の手段を 思案しては瓦解
最早 君の声を取り入れる他無く 是認
その存在に気付いた瞬間 停止した呼吸に喘ぐ 泣き止まぬ胎児
立ち込めた濃霧と二点間の距離は 決して変わる事無く
現在(いま)も揺らいでいる 真空管の中には君と二人 余命半年
君は遊んでいる 既に末期症状 もう一度君を見た
今は―――――未来。
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